日 時 | 2015年10月10日(土) 13:30~ |
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テーマ | 使いわけたい嚥下障害への対応 |
会 場 | 国立精神・神経医療研究センター 教育研修棟ユニバーサル・ホール |
会 費 | 2,000円 |
日 時 | 2015年10月10日(土) 13:30~ |
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会 場 | 国立精神・神経医療研究センター 教育研修棟ユニバーサル・ホール |
会 費 | 2,000円 |
< 第1回セミナー 使いわけたい嚥下障害への対応 >
国立精神・神経医療研究センター病院脳神経内科
難病嚥下研究会代表世話人
山本敏之
近年、我が国では摂食嚥下障害の診療に対する関心が高まり、嚥下造影検査や嚥下内視鏡などを使った診断技術が飛躍的に向上しました。また、摂食嚥下リハビリテーションや外科的治療など、治療の選択肢も増えました。しかしながら、いまだ十分な成果が上がっていないのが、神経変性疾患や筋疾患に代表される「難病」の摂食嚥下障害の分野だと思います。
「難病」とは、発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない希少な疾病で、長期の療養を必要とするものと定義されます(平成27年1月27日 厚生労働省 指定難病検討委員会)。多くの難病患者は摂食嚥下障害の合併によって、生活の質が損なわれ、さらに生命が脅かされます。今の医療では、難病患者の摂食嚥下障害に対して、効果的な治療法がありません。
では、治療方法が確立していない疾病に摂食嚥下障害が現れたとき、できることはないのでしょうか。医学の歴史を見ると、先人たちは治療困難な疾病や症状への対処を、あきらめることなく続けてきました。私たちも以下のように自問し続けなければならないと思います。
われわれ医療者は、難病患者の摂食嚥下障害に対して、なにができるだろうか?
難病の摂食嚥下障害の診療を発展させることが、本研究会の趣旨です。少しでも多くの人が、この研究会に関わり、それぞれに「われわれ医療者は、難病患者の摂食嚥下障害に対して、なにができるだろうか?」を考えていくことで、いつか難病患者の摂食嚥下障害を治療できる日が来ると期待したいです。その第一歩として、本研究会の第1回セミナーを開催することができ、大変うれしく思います。
< プログラム >
13:30~13:35 開会の言葉 山本敏之(難病嚥下研究会代表世話人)
第一部 座長 福本裕(国立精神・神経医療研究センター病院歯科)
13:35~14:25 1. 脳梗塞に伴う摂食嚥下障害
巨島文子(京都第一赤十字病院神経内科)
14:25~15:15 2. パーキンソン病の嚥下障害
山本敏之(国立精神・神経医療研究センター病院神経内科)
15:15~15:25 休 憩
第二部 座長 山本敏之(国立精神・神経医療研究センター病院神経内科)
15:25~16:15 3. 摂食嚥下リハビリテーション
清水充子(埼玉県総合リハビリテーションセンターリハビリテーション部)
16:15~16:50 4. 神経筋疾患に対する嚥下機能手術
二藤隆春(東京大学医学部付属病院耳鼻咽喉科)
16:50~16:55 閉会の言葉 二藤隆春(難病嚥下研究会世話人)
< 概 要 >
1. 脳梗塞に伴う摂食嚥下障害
巨島文子 京都第一赤十字病院 リハビリテーション科 部長
急性期脳梗塞では摂食嚥下障害を高率に合併して低栄養と脱水をきたす。呼吸器感染症の罹患率も高いため、摂食・嚥下障害の適切な評価により誤嚥予防を行い、対応や治療を行う。また、栄養管理を併用して安全な経口摂取を目指す。広範囲梗塞、多発性梗塞、脳幹梗塞などは誤嚥の高危険群病巣であり各々に特徴がある。脳梗塞に伴う摂食嚥下障害の病態を責任病巣別に理解して対応することが重要である。
2. パーキンソン病の嚥下障害
山本敏之 国立精神・神経医療研究センター病院神経内科医長
パーキンソン病の嚥下障害は、レビー小体が出現する部位の神経障害が原因と考えられている。誤嚥は肺炎発症のリスク因子であり、嚥下障害はパーキンソン病の生命予後に関わる問題である。
L-dopa治療による錐体外路症状の改善は嚥下障害にも良い影響を与えるが、過剰なL-dopa投与は嚥下障害を悪化させることがあり、病態の評価は重要である。姿勢調整や食形態の調整は有効であり、摂食嚥下リハビリテーションは積極的に行う。
3. 摂食嚥下リハビリテーション
清水充子 埼玉県総合リハビリテーションセンター リハビリテーション部言語聴覚科担当部長
摂食嚥下障害へのリハビリテーションの基本を押さえ、直接訓練、間接訓練等の訓練法について解説する。訓練手技に習熟することは、訓練効果を上げるために必要なことは言うまでもないが、その基本はいくつかのコツを押さえれば決して難しいことではない。今回は、評価、訓練の実際における着眼と技量向上のコツの何点かを具体的にお伝えしたい。
4. 神経筋疾患に対する嚥下機能手術
二藤隆春 東京大学医学部耳鼻咽喉科講師
進行性であり、嚥下機能のみならず発声機能、運動機能、認知機能などの多様な障害を伴う神経筋疾患では誤嚥防止手術が適応となる場合が多い。近年、局所麻酔下で施行可能な声門閉鎖術が普及したことにより、全身状態の不良な患者でも対応可能となっている。また対象疾患は限定されるが、嚥下機能改善手術が行われる場合もある。本講演では神経筋疾患に対する嚥下機能手術の術式、適応、周術期管理、術後の状態などについて述べる。